任意整理で処理できないほど膨らんだ借金について、個人再生と自己破産のどちらを選択するがという問題は、弁護士の中でも考え方の分かれるところでしょう。
 

個人再生と自己破産のどちらを選択するか。弁護士の判断基準はわかれる

 

任意整理で処理できないほど膨らんだ借金について、個人再生と自己破産のどちらを選択するがという問題は、弁護士の中でも考え方の分かれるところでしょう。

 

自己破産に前向きな弁護士とそうでない弁護士がいますので、それぞれどのような考えを持っているのかお伝えします。

 

 

個人再生と自己破産の違いをカンタンに解説

自己破産の場合は、生活に必要な財産以外は、すべて換金され返済にあてられます。

 

たとえば車や住宅などの財産は必ず処分されます。

 

それに対し、個人再生では財産を失うことなく債務整理ができるというメリットがあります。

 

ただし、自己破産は借金がチャラになりますが、個人再生は減額された借金を返していくという違いもあります。

個人再生と自己破産の違いを表にしてみた

個人再生 自己破産
返済の要否に関する違い 原則返済が必要 原則返済不要
財産処分の違い 基本的に財産を処分しなくて済む 一定の財産は処分が必要
住宅ローンに関する違い 住宅ローンの残った自宅を手放さずに済む可能性がある 住宅ローンの残った自宅を残すことは基本的に困難
資格制限に関する違い 特に制限なし 制限職種が存在する
郵便物の転送に関する違い 特に制限なし 一定期間中、転送される
(管財事件の場合)
負債の原因による違い 基本的に制限なし 事情次第で手続き選択不可

 

自己破産をネガティブにとらえている弁護士の場合

まず、自己破産をネガティブにとらえなるべくこれを避けるべきと考えて可能な限り個人債務者再生を利用するという方針の弁護士がいるでしょう。

 

しかし、これまで多くの多重債務者が自己破産手続きをした実績を見ると、自己破産に対して一般的にマイナス効果を与える弁護士が多いとは思えません。

自己破産も視野に入れる弁護士

個人債務者再生を利用しなければならない必要性があれば利用し、

 

特に個人再生をする必要がなければ、従来通り自己破産を選択するという方針を採る弁護士もいます。

 

個人債務者再生は、再生計画認可後3年間にわたって返済し続けなければなりませんし、

 

返済する金額も、自己破産と比べて、通常はるかに多額になるためです。

 

自己破産の場合の返済額は原則として破産宣告時の資産の清算価値に限られ、見るべき資産のない人の場合はゼロですが、

 

給与所得者等再生において求められる条件(可処分所得の2年分を3年間で返済)は、

 

世間並みの給料をもらっている中堅サラリーマンの場合、可処分所得がそれなりの金額になってしまうため、かなりハードな返済計画になってしまいます。

 

 

むやみに自己破産を避けようとすると、実行不可能な再生計画を立てることに繋がり、結局、二次破綻に陥ってしまいます。

 

相談者の意見を尊重する弁護士

依頼者の希望を優先するという方針を探る弁護士は相当数いるでしょう。

 

つまり、依頼者が個人債務者再生を希望するのならば、個人債務者再生を申し立てるという考え方です。

 

この考え方に立つと、破産を避けたいと考える人が多い現状では、個人債務者再生を原則と考える方向に流れると思います。

 

しかし自己破産を避けたいという依頼者希望が、漠然とした暗いイメージや、重大な不利益をこうむるという誤解などから生じていることが多いため、その希望を尊重するだけでは、かえって本人のためにならない場合も多いと思います。

個人再生を選択した方がいいケース

 

自己破産を避けて個人再生を選択する必要がある場合としては、以下のような典型例が考えられます。

 

@本業で確実な売り上げと利益が見込めるが、過剰債務で自転車操業に陥っている個人事業主(負債3000万円以下の小規模な事業)の場合

 

A住宅ローンの支払いだけならなんの問題もない場合で、住宅を維持する必要のある場合。
例えば、住宅ローンの支払いには全く問題がない給料をもらっているが、他人の借金の連帯保証をしてしまい、保証債務の返済に行き詰まって多重債務者となったケース

 

B自己破産をすると資格制限により現在の職業が維持できない場合で、現在の職業を維持し続ける必要がある場合。
例えば、生命保険の募集委員で、きちんとノルマをこなして給料は安定しているが、その収入では返済できないだけの多重債務をかかえたケース。
(なお、ノルマをこなすために借金して接待をしたり、自分で保険料を払って架空契約をしているような人は、早期に退職して破産するべき)。

 

C自己破産手続きでは、確実に免責不許可とされてしまうほど、
借金の原因に極端な問題がある場合(よほどひどいケースでなければ、免責不許可事由が存在していても、総債務額の1割程度を自主的に返済することで、残りを免責してもらえるのが通例。例えば,借りたお金のほとんどをギャンブルにつぎ込んだケース

 

以上のように、個人債務者再生と自己破産のどちらかを選択するかは一概に言えない問題で、ケースバイケースの面もあり、くれぐれも素人判断は避けて、弁護士とよく相談されることをおすすめします。

個人再生は弁護士に依頼しなくても自分一人でもできる?

個人再生の手続きをする場合、実費や個人再生委員(手続きを主導してくれる人、基本的に弁護士が選任されます)への報酬など数万円から数十万円単位の費用が必要になります。

 

また抱えている借金額も大きいので、お金に余裕がありません。

 

そのため費用を少しでも抑えるために、自分一人で個人再生の手続きをしようと考える人が結構います。

 

しかし個人再生を自分一人でするのはおすすめできません。

 

後に債権者に借金を分割返済していくための再生計画を作成したり、裁判所に膨大な書類を提出したりする必要があり、手続きは複雑だからです。

 

 

これらの作業は法律の知識がない一般の人にとってはかなり困難となります。

 

仮に何とか手続きをすることができたとしても、不備があると自分にデメリットが生じかねません。

 

そのようなことから個人再生の手続きをする場合、弁護士や司法書士など法律の専門家に依頼したほうがいいでしょう。

 

確かに専門家に数十万円単位の報酬を支払わなければなりませんが、余計な労力を費やすこともなく、正確な手続きをすることができるといったメリットを享受できるので、決して高い費用ではありません。

 

弁護士や司法書士など専門家に個人再生の手続きを依頼する場合、その選択をしっかりすることが大切です。

 

専門家の中には個人再生の知識に乏しい人も少なくなく、このような専門家に依頼してしまうと希望通りの解決をすることができません。

 

個人再生の手続きを熟知していて、なおかつ実績のある専門家に依頼するようにしましょう。

まとめ


個人再生と自己破産の選択に迷った際には、状況に応じたベストな選択をするために、まず無料の法律相談を受けてみることを考えてみてください。

 

多くの法律事務所が債務整理の相談を無料で受け付けており、相談しただけで依頼の義務はありません。

 

「財産を守りたいから個人再生がいい」と初めは考えていても、専門家との話し合いを通じて、自己破産が適切であることが明らかになることもあれば、社会的リスクが少ない任意整理で事足りることも。

 

最良の解決策は個別の状況によって変わるので、プロの意見を参考にすることが有益です。

 

相談する際には、多くの経験と実績を持つ法律事務所の選択を推奨します。豊富なケースを扱ってきた専門家は、適切なアドバイスと判断を提供してくれるはずです。

 

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法律ができればその抜け道をさぐり知識にうとい素人を巧妙に餌食とする悪知恵がはびこるのが常です。

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当たり前の権利を知っていただき是非解決してください。

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