一度個人再生をして分割返済を開始したのですが、少し無理があったので再度個人再生の手続きをしたいと考えている人もいるのではないでしょうか?
また借金癖がなかなか治らず、個人再生によって返済完了した後、再度多額の借金を負ってしまい、また個人再生を利用したいというケースもあるでしょう。
2回目の個人再生ができるか気になるところですが、結論から述べると基本的に可能です。
ただ2回目の給与所得者等再生をする場合、一定の制限が課せられています。
個人再生の方法で借金整理する場合、手続き後、再生計画案に沿って債権者に分割返済していきます。
この手続きは継続的又は反復的に収入を得られる見込みがある人が利用できるので、基本的に返済できなくなることはありません。
しかし個人再生の手続き後、勤務先の会社をリストラされたり、給料を減らされたりすることもあります。
無収入になったり、当初より収入が激減したりすると、滞納してしまうことも十分考えられるでしょう。
個人再生後、返済が滞ってしまう場合、裁判所に申立て、返済期間を延長してもらうことで対応します。
ただそれでも返済できない場合は他の方法で借金整理するしかありません。
個人再生後、返済期間の延長をしてもらうためには、やむを得ない事由で再生計画案の通りに返済していくのが著しく困難になったことが必要です。
具体的には職場の事情でリストラや減給される、病気や怪我によって休職しなければならないなどがあげられます。
自分の落ち度で払えない場合は、延長を認めてもらえません。
返済期間の延長は最大2年と定められているので、個人再生手続き後、5年まで期間を延ばすことができます。
ただ返済額自体を減らせないので、延長後の期間内に再生計画案で定められた額を返済しなければなりません。
また個人再生の手続き外で処理している住宅ローン債務は返済期間延長の対象外です。
返済期間の延長を認められたとしても、返済するのが難しい場合は、自己破産の方法に手続きを移行することを検討します。
また再生計画によって定められた額の4分の3以上の返済を済ませている、債務者に落ち度がない事情によって返済がきわめて難しくなったなどの条件を満たせば、残りの返済を免除してもらえるハードシップ免責の利用も考えられます。
個人再生手続き後、分割返済中に再度申立をする場合、最初に申立した個人再生が小規模個人再生か給与所得者等再生かで結論が異なります。
小規模個人再生であれば無条件で再度申立が可能です。
これに対して給与所得者等再生の場合、すぐに再度給与所得者等再生を申し立てられません。
給与所得者等再生の申立をして、一度認可決定が出ている場合、確定してから7年間、給与所得者等再生を再度申し立てられないという規定が民事再生法で定められているからです。
1回目 | 2回目 | 可能かどうか |
小規模個人再生 | 小規模個人再生 | 〇 |
小規模個人再生 | 給与所得者等再生 | 〇 |
給与所得者等再生 | 小規模個人再生 | 〇 |
給与所得者等再生 | 給与所得者等再生 | 7年間はできない |
一方小規模個人再生の再度申立は特に規制がないので問題ありません。
ただ個人再生手続き中の場合いきなり再度借金整理の申立てを考えるべきではありません。
再生計画を変更によって返済期間を延長できたり、ハードシップ免責を利用できたりするからです。
ハードシップ免責とは、本来なら個人再生した後、返済できない場合は再生計画は取り消され、債務者が残りの債務の免責を得るためには、
別に破産手続きによる免責決定を得ないといけません。
しかし、債務者がきちんと返済してきたのに、病気やリストラなどいろんな事情が重なり、当初予定していた収入が見込めなくなり返済できなくなった場合の救済制度です。
一生懸命返済しているのに、不運が重なってしまった人の最後の切り札です。
・個人再生者が返済することが困難と判断された場合
・再生計画の変更が困難であること
・4分の3以上の返済を終えていること
・ハードシップ免責の決定をすることが再生債権者の利益に反するものでないこと
(要は清算価値保証原則を守りなさいということ)
個人再生によって返済完了した後、再度多額の借金を負ってしまった場合も基本的に申立可能です。
再度多額の借金を負った原因がギャンブルや浪費の場合でも自己破産の免責不許可に相当する規定はないので、問題ありません。
ただ個人再生による分割返済中に再度申立をする時と同様、当初の個人再生申立が給与所得者等再生である場合、再度の給与所得者等申立は7年間制限されます。
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